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たまプラーザ団地管理組合は いつから どうして おかしくなったか
裁判背景の徹底調査研究   2008年10月
西村 肇  手塚正治
この研究 なにか なぜか
この研究 なにか なぜか

           執筆者の自己紹介
 私たち両名は工学部の大学院を終了した後、一人は化学プラントの設計理論に、一人は増殖炉(原子炉)の設計に専念した人間です。しかし単に技術的問題の解決だけでなく、西村は水俣病の原因解明で、手塚は「もんじゅ」の事故原因解明で先端に立ち、国家プロジェクトあるいは社会の政治勢力とぶつかり合う大変面倒な仕事を経験してきました。一方は民間企業の内部にいての努力、一方は外から企業を追求する努力ですから立場は逆のように見えますが、不思議なことに立場の違い、意見の違いを越えて、考え方と態度は共通していました。それは「Fact and Disclosure」です。つまり徹底して事実を明らかにすること、そしてどんな情報も隠さずに誰の手にも届くようにすることです。しかしこれは言うはやさしく実行は容易ではありません。それを越えるための心構えはただ一つです。それは「自分の利益を第一に考えない」、「敵か味方かの判断はさける」ことです。

     両名の団地印象 = 美しい団地をおおう暗い影

 仕事の上でこんな経験を潜り抜けて来た私たちが団地に帰って来ての第一印象(疑問)は「なんて人間関係が希薄で暗いのか」です。評議委員会や理事会で自由に意見を言う人はほとんどいません。特定の人が意見を言っても議論にはなりません。後で何か言われることを恐れ、係わり合いをさけているようです。自分の知らないカゲでは悪口が渦巻いている団地だからです。
 関係ない人、知らない人は信じないかもしれませんがこの団地は「ウワサがすべて」の団地です。そのウワサは誰が振りまくか。それは「妖怪」です。間違って「妖怪」の足をふんだりニラまれたらヒドイ目に会います。ウワサだけならまだしも、ひどいイジメに会います。この団地には、そういうイジメを経験した人がどれだけいるかわかりません。
 妖怪やイジメはマンガの世界で昔はあったかも知れないが今はなくなったと思っている人が多いと思います。それは多分、社会に出ての仕事を通しての経験からの結論です。会社組織でもイジメはありますが、法律があるし、社会の目にもさらされていますからヒドイといっても限度があります。ところが団地のように法律の及ばない閉じられた社会ではブレーキがきかないのです。

        共同研究ができた理由とその目的
 この団地を支配し、その自然環境同様に美しかるべき人間関係を阻害し、暗くしている「妖怪」の正体を研究しあばき出したのがこの報告書です。でも二人の協力は一筋なわではありませんでした。15年も前から「駐車場増設検討委員長」「補修実行委員長」をして正論を通そうとする度に強い抵抗にあい、さらには「悪口」「はずし」「イジメ」にあって来た西村には妖怪の正体はわかっていました。ところがその経験がなく退職後、団地に帰ってきた手塚には妖怪の実在は信じられませんでした。ただ一番の違和感はこの団地には「まともな社会常識が通用しない世界である」ということでした。まともな常識とは、まともな企業や大學でマネージメントをする人間が守るべき常識であり、それは「ウソをつかない」「かげ口をしない」「事実を隠さない」「派閥を作らない」などが第一です。それに最も大切にしていることは他人を人間として尊重する「人権感覚」です。
 西村の妖怪経験と手塚の違和感が一致することがわかったのは互いに相手を知ってから大分あとのことです。この前に二人は、半永久的に理事長に執着するY氏のもと、団地組合全体がY氏の王朝に化している異常さを打破するため、評議委員会の場で全力で活動を行いました。こうしてようやくY氏を理事長の座から降ろし、これで正常な理事会に戻ったと一安心した途端、口下手だが誠実無私な田中理事長の「解任騒ぎ」がおきました。それは「あなたの知能は犬より低い」の暴言で始まる徹底した人格攻撃の解任だったのです。
 田中は大企業の中心にいた化学プラントの設計家です。我々が脱帽したのはその専門能力の高さばかりでなく、多数の技能者をかかえる工場のマネージメントをした彼の知識の広さ、判断の的確さ、それに立場の弱い人を思いやる人権感覚です。私たちはこの田中氏が、知性も人格も完全無視され、この団地にも住めなくなりそうな状況を見て、彼の支援にたちあがりました。それは私たちがY氏を完全に降ろすことで妖怪を退治したと思った矢先に、もっとすごい第2の妖怪が生き残っていることが分かったからです。
 ですから私たちが田中氏を支援した真の目的は、単に田中を助けて裁判に勝つことではなく、この団地を暗くしている妖怪を今度こそ完全に葬りさって、明るい団地再生への第一歩にすることにあります。

             研究の精神と方法
 私たちは二人とも工学部(理系)出身ですからこの論文は工学部に出す論文の精神とスタイルになっています。それは徹底的に実証的であることです。一行も想像だけで書いた所はありません。事実に関しては徹底的に過去の資料を集め、資料だけに依拠しています。しかし事実の寄せ集めではありません。事実はバラバラですから、そのままでは全体像は見えてきません。そこでジグソーパズルのように辛抱強く事実を突合せて全体像に組み上げたのがこの報告書です。これが工学論文の典型ですがその通りのことをやりました。

            この報告書の中身
 この報告の主要部分は妖怪の正体を完膚なきまでに明らかにした手塚の報告書です。妖怪はいつなぜ生まれたのか、そしてなぜ生き続け団地をここまで暗くしてしまったのか、誰もが納得がいくように解明されています。これらは10月9日の法廷に書証として提出され受理されました。
 手塚報告書の前に置かれているのが西村意見書です。これは被告代理人である丸山英気氏が「団地の問題を裁判所に持ち出すことはできない。この訴訟は却下すべきである」という趣旨で主張した「団地部分社会論」を徹底的に論駁したものです。この論駁がなぜ必要だったかというと「まともな社会常識が通らない団地」の状態を正当化しているのがこの「部分社会論」だからです。この意見書も10月9日の法廷で意見書として受理されました。裁判における意見書とは原告、被告が学術上の問題を争った時、学術上の権威者に対し裁判官が意見を求めるものとされています。
 最後に田中氏の実力と人格を知っていただくため、田中氏の著書に対する専門誌編集者の書評を転載してあります。
以上、少し長いものですが、最後までお読みいただければ幸いです。
 
                               西村肇 手塚正治

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