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調査報告書
「10年前の大規模補修工事で何が起ったのか?」

報告者 手塚正治   2008年9月6日
第1 調査の概要

1 はじめに
 本調査の目的は,たまプラーザ団地における管理組合の活動について,裁判となった本件の真相解明のために必要な情報をより多く集めることにある。
 今回,調査の対象とした時代は,この団地建設後の第2回大規模補修工事の計画と実行に費やされた平成8年6月から平成10年12月までの約2年半である。

 調査のタイトルである「大規模補修工事で何が起ったのか?」につき,出来るだけ忠実に再現できるよう,その当時に発行された資料は公式/非公式を問わず,出来るだけ多くの情報を入手するよう心掛けた。つまり,補修工事の計画から実行に至るまで,出来るだけ広範囲の情報(関連資料)を収集した。
管理組合が発行する公式資料については,幸いにも現在まで全て大切に保管してくれていたある組合員の協力でそのほとんどを収集することが出来た。
 調査報告書を作成するために参照した関連資料は膨大な量になった(資料1- 資料58)。

 この裁判で問題となっている事項については,その当時関係した原告田中秀男氏(平成10年度理事長)が保管していた多くの非公式資料を含む関連資料に加えて西村肇氏(平成9年度補修実行委員長)が所有していた補修実行委員会議事録等が発掘されたことで,証拠資料としてほぼ完全なものがそろえられた。

 10年後の現在において,当時の実情をより正確に把握できる補修工事の全貌を体系的に明らかに出来たことで,本件の真相が解明されることを確信している。

2 調査の作業手順
 これら関連資料の収集とその整理方法については,以下の手法(作業手順)に従った。
   まず入手した関連資料は全て片端から読み込んだ。
   そして重要なポイントには資料に全てマーキングを施した。
   関連資料を年代順に並べ替え,資料ファイルを作成した。
   資料ファイルと整合する資料リストを作成した。
   これら資料リストを記載内容に基づく種類別に分類整理した。
   この資料リストの分類整理表に基づき資料ファイルを再整理した。
   重要となる出来事や事件については,事実の推移を客観的に理解できるよう全て「事象推移図」を作成した。
   公式資料(注)からは,管理組合運営上主要な記載内容(重要なポイント)を時系列的に摘出整理して管理組合活動の主要な流れ(シナリオ)を再現した。
   非公式資料(情報)からは,このシナリオの細部を埋めるため必要とする情報を追加した。
   最後に,補修工事の計画と実行に関与した管理組合の役員,委員,従業員,業者を対象に,組合組織内の人事異動を追跡し,彼ら相互の関係を明らかにするための「組合人事相関図」を作成した。

(注)公式資料とは管理組合が発行する「総会議案書・議事録」,「管理組合ニュース」,「評議委員会議事録」,「補修工事委員会ニュース」等を指す。

3 調査の対象とした資料
 今回調査した具体的な資料の種類は,以下の通りである。公開/非公開資料を含めて上記関連資料の総件数は60件に及ぶ。

 第52回通常総会議案書と議事録
 第53回通常総会議案書
 第54回通常総会議案書
 「管理組合ニュース(ふれあい)」No.159 - No.187
 「管理組合ニュース」No.188 - No.199
 「補修工事委員会ニュース」(ふれあい)No.1 - No.10
 「補修工事実行委員会ニュース」No.1 - No.9
 「補修工事実行委員会ニュース」No.10 - No.24
 田中秀男氏が保存していたその当時の理事会内部資料
 補修実行委員であった時代の西村肇氏の手持ち資料

 平成8年度から平成10年度の3ヵ年間における管理組合活動とそれを伝える広報(公式資料)の相関を図2-1に示す。そして理事会執行部が一般組合員に対して情報公開を円滑に遂行しているか否かを検証するため「管理組合ニュース」と「補修工事ニュース」の発行資料番号と発行日の対応表を作成した。その結果を図2-2に示す。

4 特記事項
 図2-2の調査結果からも明らかなように,上記資料の中で最も重要な広報としての役割を有している「補修工事実行委員会ニュース」に大きな欠落部分があることが判明した。つまり,平成9年7月?8月までの2ヶ月間は「補修工事実行委員会ニュース」No.1?No.9に「補修工事実行委員会議事録」が公開されていたが,平成9年9月から平成10年12月までの16ヶ月間,「補修工事実行委員会議事録」は全く公開されていない。
(補注)
 一般組合員にとっては,上記の期間,情報が途絶したため,補修工事実行委員会内部の議論が全く分からなくなっている。
 この時期は平成9年度理事長日出谷氏が辞任し(H9.9.6),コンサルタント会社として約束していた共同設計五月社(社長三木)が契約解除され(H9.9.26),さらにCM(Construction Management)の工事監理人として日本建物保全研究所の道氏に「白羽の矢」を当てていたが,結局この考えも実行委員会出席者の僅か9人の中での多数決で破棄され,品質保証の面で国際規格ISO9000の認証を有するという戸田建設1社に責任施工することに決定した(H9.10.19)時期と重なっている(後述記載参照)。まさに補修工事の基本方針が大きく転換するその最も重要な情報が一般組合員には途絶えたといえる。

 「補修工事実行委員会ニュース」が再開されたのは,翌年4月の「補修工事実行委員会ニュース」No.10(平成10年4月8日発行)からであった。その時点ではもはや戸田建設による補修工事が開始され,そこには工事期間中の「お知らせとお願い」,及び「組合員からの質問/回答」等の記事に変わった。

(補注)
 補修工事実行委員会(実際には常設役員会)は,請負業者である戸田建設を対象にした「工事監理」ではなく,その対象を一般組合員に向けて指導監督する執行者に変質していたといえる。
 図2-1【補修工事に関する管理組合活動と広報(ニュース)の関係】
 図2-2【補修工事期間中管理組合ニュース発行番号と発行日の対応】


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