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調査報告書
「10年前の大規模補修工事で何が起ったのか?」

報告者 手塚正治   2008年9月6日
第2 調査結果
2. 障害となる役員・委員の排除

2.1 日出谷理事長の辞任
 平成9年度8月,宮崎副理事長は日出谷理事長に対して,@平成8年度業務で不正な業務応援報酬金(19万円)を受けたこと,A臨時総会に提出した戸田建設の見積書単価が入札時の単価より高額になっていたこと,これが五月社によって変更されていたこと,さらにこれが日出谷氏の指示であったこと等の理由から,補修工事実行委員会の席で奥村・山田副委員長らと共に日出谷理事長に対し「責任」を取り理事長の辞任を迫った。監事という役職でありながら「業務応援報酬金」を受け取ったことについて,日出谷理事長は「誤り」であったことを認め,@の「業務応援報酬金」を全額返還した。
(補注)
 当時,管理組合は,運営上最も重要な補修工事を遂行するために多くに難問を抱えていた。
 補修工事実行委員会では,平成8年度に約束していた五月社(社長;三木氏)が種々の失態を起こしたことを理由に「コンサルタント会社として信用できない」との声が日増しに増大していた。その中で,日出谷理事長は必死にことの収拾を図ったが,宮崎副理事長,奥村・山田正副委員長からの強硬なる反対意見を抑えることが出来なかった。そして終に,補修工事計画を実質的に推進してきたが,これ以上理事長を務めることは無理と判断して平成9年9月6日の理事会において自らその座を降りたのである。

(関連資料)
 ・資料3;補修工事に関する事項談話会議事録(H.9.6.30)
 ・資料4;第4回補修工事実行委員会議事録(H.9.7.15)
 ・資料5;第5回補修工事実行委員会議事録(H.9.7. 17)
 ・資料6;第11回補修工事実行委員会議事録(H.9.8.30)
 ・資料8;管理組合ニュース ふれあいNo.180(補修工事中間報告2)(H.9.10.29)
 ・資料13;管理組合ニュース ふれあいNo.180(9月の評議委員会)(H.9.10.29)
 ・資料14;調査委員会からの組合業務応援報酬に関する答申書(H.10.3.11)
 ・資料15;調査委員会に関する意見(H.10.4.17)

2.2 相澤監事の辞任
 相澤氏は平成8年度保繕諮問委員長の役職にあり,「ふれあい道路」沿いの街路灯工事(総工事費;2,458万円)を推進した立役者であった。この街路灯工事に関して彼はスライドを使って,この成果を一般組合員に説明している。
 しかし,その後この工事で不正があったかのような噂が流れた。そして日出谷理事長と同様,平成9年9月6日の理事会では,村田監事(女性)より「平成8年度の業務応援報酬金を受領することは不正行為である。」と報告された。
 村田監事からこのような報告を受けた相澤氏は,日出谷理事長と共にその場で監事を辞任する意思を表明した。

 その後,宮崎理事長代行から受領金の返還を求める通告書(平成9年10月6日)が発送され。
 しかし相澤氏は,「理事でない者に規約52条を適用するのはおかしい。理事会の応援要請により作業し申告者が応援報酬内規第3条による支援を受けたことが違反となるのか?」と反論し,平成9年10月11日,理事会に「異議申立書」を提出した。そして返還請求金額は管理事務所村松主任に既に提出されていた。(平成9年9月18日)

(注)上記の支払いを許可した平成8年度理事とは,当時財政担当理事であって平成9年10月現在,理事長代行を務める宮崎副理事長である。

(関連資料)
 ・資料11;相澤氏からの理事会への異議申立書(平成9年10月11日)
 ・資料12;通告書(不正支出額返還請求書)
 ・資料13;管理組合ニュース ふれあい No.180 (9月の評議委員会)

2.3 河原氏への返還請求
 一方,日出谷氏,相澤氏と同様に業務応援報酬費を受領した河原氏は,執拗な宮崎理事長代行からの返還請求に対しても,「平成8年度において私は組合員であって,管理組合からの依頼業務を助勢した正当な報酬金であるから平成9年度理事会からの返還請求には応じられない」と主張して一貫してその返還には応じていない。

(関連資料)
 ・資料12;通告書(不正支出額返還請求書)(平成9年10月20日)
 ・資料13;管理組合ニュース ふれあい No.180 (9月の評議委員会)

(不正支出問題に関する調査結果)
 ここで不正支出として問題にしている支払伝票には,平成8年度財政担当理事(宮崎芳枝)の捺印も存在する。これについて宮崎理事長代行は平成9年9月21日での評議委員会で以下のように説明している。

宮崎理事長代行;
 「平成8年度の窓口現金支払い清算書の承認印の意味は,前年度からの申し送りの通り,支払い金額と領収書が一致していることを確認するという意味のものであり,内容を承認するものでなかった。その中には理事として承認できない支払いを発見した。この問題は重要なことなので平成8年度は今回村田監事さんが調査してくれた。これがその報告書である。
平成8年度以外にもこうしたことがあるので調査委員会を作って調査することを理事会は決議した。今後は姿勢を正し,クリーンな組合運営を行うよう努力することをお約束します。」

三氏(日出谷氏,相澤氏,河原氏)がやった具体的なことは,本来理事会がやるべきことを理事会の承認なしに行い,また承認無く報酬を受け取ったということである。 理事会運営の仕方,予算の立てにも考慮が足りなかったことは事実である。今理事長の職務を代行するに当って非常に困っている。」

三氏は過去4年間理事会に関与してきた。最初は有難いことだと思っていた。皆も監事と理事の区別がついていなかった。おかしいという意見も出たが,この件は十分処理できなかった。」

 これら説明に対して評議委員長(林氏)は,「理事会の報告は了解した。問題を犯した三氏には役職を降りてもらいお金は返してもらう。理事会も今後はこうしたことがないようにする。これでいかがでしょうか」と発言して評議委員から拍手で了解をとったのである。
・・・・(評議委員会(平成9年9月21日)での理事会報告より抜粋)


 平成9年10月,日出谷理事長辞任後の理事長代行を務めた宮崎副理事長は,日出谷氏以外の他の2人(相澤氏,河原氏)も同様に不正な業務応援報酬金を受け取ったとしてその返還を求めたが,彼らがそれに従わなかったことから,この「業務応援報酬金問題」は,まだ解決されていないと主張して,その真相解明を求めるため「調査委員会」を設置するよう理事会に提言した。
 提言を受けた理事会はこれを受け入れ「調査委員会」を設置した。この「調査委員会」は委員3名で構成され,その中に平成9年度評議委員であった田中秀男氏も含まれていた。
その後半年に及ぶ調査の結果,「調査委員会」は答申書の中で「本件は平成8年度業務としては正式に終了(決算)しており,今後再発防止に努めることでこれ以上の追求は必要ない。」と結論した。平成10年4月の評議委員会ではこの答申書の要旨が報告され了解された。

(関連資料)
 ・資料15;管理組合ニュース ふれあいNo.180;9月の評議委員会(H.9.10.29)

2.4 西村実行委員長の辞任
 平成8年度の補修工事委員会(古川委員長)から引き継いだ平成9年度の補修実行委員会は委員14名で構成された大プロジェクトチームであった。西村氏が補修実行委員長に選出された当初(平成9年7月?8月)は,一般組合員はこの実行委員会への傍聴は自由であり,議事録も「補修実行委員会ニュース」を通じて公開され,民主的な会議運営がなされていた。
 しかし発足後2ヶ月も経たない平成9年8月末以降,「五月社」の契約継続破棄が決定され,日出谷理事長が辞任に至り,それと同じ頃「補修実行委員会ニュース」もその発行が中断された。そのため,補修実行委員会の議事録が公開されなくなり,一般組合員には重要な補修工事の審議過程を皆目知ることが出来なくなった。

(補注)
 この頃から西村実行委員長に対する奥村・山田両副委員長の「造反」が顕在化して来た。特にCM(Construction Management)方式の検討においては,専門家の監理責任者を委託する西村実行委員長の考えは完全に排除され,最終的に「戸田建設責任施工方式」に決定した。
 陰で戸田建設と組んだ理事会役員が動いたこと疑われる事態である。平成9年11月1日,西村氏はCM方式を採用しない限り組合員に対して責任ある委員会運営は出来ないと,自ら委員長を辞任した。そして,平成9年11月以降,補修工事実行委員会は奥村委員長に引き継がれた。
 この頃からプロである戸田建設(ゼネコン)担当者がアマチュアの集まりに過ぎない委員会内部に直接介入するようになり,戸田建設側が補修工事の具体的方法全てを仕切きるようになったと思われる。

2.5 常任委員会の設置
 平成10年3月8日(日),補修工事の起工式で管理組合と戸田建設(株)の間で契約書の調印が行われた。そして契約後は補修工事実行委員会も平成9年から平成10年へと大きく様変わりした。補修工事実行委員会の位置づけを図3-2に示す。この図に示されるように奥村実行委員長の提案から,補修工事を実質的に推進するため理事会役員と補修工事実行委員との合同委員会の意味合いを持つ「常任役員会」が設置された。

(補注)
 この役員会は毎週金曜日に開催されたことから,参加者は自ずと一部の理事と実行委員に限定された。これによって逆に「補修工事実行委員会」は全員で日々変化する情報が共有できなくなり,実行委員会の機能が自ずと衰退していった。この「常任役員会」は,管理組合規約等には存在しない私設組織であり,議事録も存在しないことから,何がどのように議論され取り決められたかは一般組合員には全く不明である。
 当時の組合役員の独断的判断による誤った決定が,何も知らされていない一般組合員に向けられたといえる。独立した監理会社を設置しなかったことが,後に組合員に損害と精神的苦痛を与えたその最大の原因と思われる。

(関連資料)
 ・資料7;第17回補修工事実行委員会議事録(H.9.10.19)
 ・資料9;管理組合ニュース ふれあいNo.181(補修工事中間報告3) 
       (H.9.11.26)
 ・資料10;「最後の一言」5-2-102 西村肇(平成10年12月25日)

2.6 村松管理主任の退職
 長年に亘り当団地管理組合窓口業務の功労者であり,組合員に慕われていた村松管理主任が,突然,平成10年1月30日付けで退職した。名目は定年退職とされているが,実際は宮崎理事長代行によって「規約違反」を犯したとして責任を取らされたのである。その理由は,@三氏(日出谷氏,相澤氏,河原氏)へ理事会に相談もなく業務報酬金を支払ったこと,Aリホーム工事の届けの際に,組合員から建築協定違反である給湯器や網戸の設置に対してこれを無断で許可したこと等と言われている。

(補注)
 リホーム申請を行って許可されていた一般組合員は,彼の突然の退職により補修工事開始後「思わぬ不幸」がもたらされた。なぜなら,彼の退職を契機に,従来から彼に頼って処理されてきたはずの管理組合業務が全て否定されたからである。
 特に,平成10年3月から開始された大規模補修工事における宮崎理事長と奥村・山田正副補修実行委員長らによる大掛かりな「建築協定違反者の摘発」が行われた。これはまるで,あるリホーム業者から,まるでポルポト派やスターリンの大粛清行為と同じであると評されるような勢いであった。しかし,彼らは,このホーム業者を「補修実行委員会ニュース」で,「頭の黒い白蟻」と称し,そのリホーム工事を痛烈に断罪したのである。

(関連資料)
 ・資料15;第53回通常総会(平成10年5月31日)議案書第1号議案の業務報告

2.7 田中理事長の解任(平成10年9月2日)
 管理組合運営の最大の目的は無事に補修工事が終了することであったが,バルコニー防水工事の保証を得るための障害とされた給湯器,室外機,網戸の取外しが大きな問題となっていた。特に,3-1-408秀島宅のベランダに設置された大型ガスヒートポンプ(重量:230Kg)につき,近隣する3-1棟住民が不安を訴えていた。

(補注)
 田中理事長は,協定違反者と名指しされた組合員の権利(生活権)を守るため,補修工事の名目で給湯器,室外機,網戸の取外しを強く要求する彼らと正面から対立していた。
 平成10年度に理事長に選出された田中氏の立場は,大規模補修工事の真只中にあってまさに「4面楚歌」の状態であった。管理組合運営の実権は,補修工事を名目に既に宮崎芳枝(前)理事長と補修実行委員会の奥村・山田正副委員長らに握られており,平成10年度理事会に対して彼らは悉く干渉した。

 そこに平成10年7月9日,2-2棟の階段から作業員落下事故(いわゆる二木事件)が勃発したのである。この事件の事象推移図を図3-4に示す。
 田中氏はことの真相を正すために直ちに事故の原因を作った二木氏(2-2-401)の自宅を訪問して彼との話合の場を持ち,その問題解決に動いた。
 しかし,補修実行委員会の奥村・山田正副委員長らは,常々この補修工事に反対している二木玲二氏が起こした工事妨害事件だと決め付け,「絶対に許さない。工事妨害者である」と奥村委員長の名で二木玲二氏宛てに「警告書」を送りつけた。
 そして「補修工事実行委員会ニュースNo.17」(7月29日発行)を使い,「二木氏が現場作業員を階段から突き落とした」と明らかに事実と異なる誤った情報を全街区に公表した。さらに補修実行委員会中間報告(6)では,「田中理事長は管理組合(理事会+実行委員会)の運営方針を無視して加害者側に味方する独断専行行為である」と理事長であった田中氏を公然と批判した。

(補注)
 この事故を事件にして団地内で騒ぎ立てた実行委員会(常設役員)は,組合員の人権を守るどころか,加害者としてのレッテルを貼ってこの組合員を団地から追放する勢いであった。
この事件が直接の契機となり,田中氏は,平成10年9月2日の臨時理事会で解任されたのである。
 しかし,このとき,田中氏は「規約に規定がないのに任意の理事長解任は出来ない」と反論した。田中理事長の行動を理解していた中島副理事長は,田中理事長辞任に合わせて辞任した。
他の理事たちは,田中理事長の解任理由が,本当は何なのか理解できないまま,勝馬に乗るため補修工事実行委員会側にその身をおいた。9月の評議委員会では,田中理事長の解任が大きく問題視されたが,もはや「覆水盆に反らず」であった。

(関連資料)
 ・資料17;管理組合ニュースNo.192(7?10P)
     第4回評議委員会(9月27日)だより(H.9.10.14)
 ・資料18;恐るべき閉鎖社会(H.9.9.11)
 ・資料19;評議委員会(H.9.9.21)議事録(1-5-105萩谷氏作成)(H.9.10.28)
 ・資料20;田中レター「理事長辞任について」(H.9.10.2)
 ・資料21;Fact &Fair 理事会は何を隠すのか? 田中理事長は辞任か解任か 扉をこじ開けた評議委員会(H.9.10.28)
 ・資料22;田中レター「不可解な世界」(H12.5.18)


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