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調査報告書
「10年前の大規模補修工事で何が起ったのか?」

報告者 手塚正治   2008年9月6日
第2 調査結果
3. 一般組合員に対する警告と負担の強要

3.1 平成9年度理事会が「建築協定違反」と断定(平成10年3月10日)
 平成9年度理事会と補修工事常設役員会(3月10日発足)は,リホーム時にバルコニーに給湯器を設置した組合員に対し「補修工事実行委員会ニュース」を使用して「建築協定違反者」として, 彼らの住所を公表し,「原状復帰」を要求した。
 また,常設役員会は「建築協定違反工事改善命令リスト」(H10.8.18)を発行し,強制的にバルコニーから給湯器を撤去させ,さらに工事後の再取付けも禁じた。

3.2 宮崎理事長(当時)の発言
 上記の行動の基本となった考えは,平成10年3月10日の補修工事実施についての説明会における平成9年度宮崎理事長の次のような発言である。

(3-1棟組合員)3-1では,1軒が230Kgもの重さの給湯器をバルコニーに置いています。取り付けるときみんなで反対したのですが,工事の際は移動すると約束しましたので,これを外して工事をするようご配慮下さい。
(宮崎理事長)規約の中には建築協定があります。その第2条に「組合員は次の各号に掲げる行為をしてはならない。」とあり,三項に「建築の主要構造物(建築構造上不可欠な壁,柱,床,はり,屋根,階段,バルコニー,ひさし)に影響を及ぼす穿孔(せんこう),切欠等の行為。但し,別に定める規定により,理事会の承認を得た場合はこの限りではない。」つまり,一切の共有物にかかわるものにさわってはいけないと書いてございます。給湯器を外壁につけるために壁の穴をあけなければなりません。壁の穴あけは共有物に穴をあけることですが,但し欠き穴をあけてもいいという理事会で決定されたのは10年ほど前だと思います。けれどもこの時の理事会の記録を見つけだすことが出来ませんでした。「冷暖房用の穴あけ条件について」というものがあっただけです。そこで平成9年度の現理事会は3月5日と8日に理事会を開き,外壁の穴あけ条件をはっきり決めました。「冷暖房用の」言葉を削除し,「壁に穴をあけてもよいのは2つまで」としました。給湯器をつけて良いとか,悪いとかは決定されていません。先ほどのご発言のことですが,バルコニー床に230Kgもの物が置かれていることについても,そのようなことをしてもよろしいという決定がなされたということは文章から発見できませんでした。理事会がしてよろしいと言ったこと以外は規約違反でございます。
・・・「補修工事実行委員会ニュース」No.10(8?13P)補修工事実施についての説明会から(H10.4.8)
(補注)
 上記発言が問題なのは,給湯器を設置した組合員に対して同じ棟住民から「建築協定違反者」として非難させる方向に扇動・誘導したことである。

(関連資料)
資料16;補修工事実行委員会ニュースNo.10(8?13P)補修工事実施についての説明会から(H10.4.8)
資料17;管理組合ニュースNo.192(7?10P)第4回評議委員会(9月27日)だより(H10.10.14)

3.3 秀島氏に対する大型ガスヒートポンプ撤去の強要
 平成5年12月から翌年2月までの3ヶ月を掛けて3-1-408号所有者である秀島氏は,リホーム工事を行った。これは病身の妻(筋ジストロフィー症)の健康維持のために必要な床暖房と空調設備を取付けるためであった。このための機器として重量;230Kgのガスヒートポンプをバルコニーに設置した。この機器が他に余り見られないほどの重量物であるのは,都市ガスで駆動するヒートポンプだからである。これが電力ならばはるかに軽い機器で十分であるのに,何故このようなガスヒートポンプを選択したのかと疑問が残るが,これについては以下に示す理由があった。

 この秀島氏のリホームに関して4階段の居住者の間で「電流容量を20アンペア以下とする」ことが取決められ,これを遵守するよう秀島氏は承諾させられた。つまり,電力駆動であれば30アンペアに上げる必要があるが,これが認められなかったので,大型ガスヒートポンプとなった。

 その後,リホーム工事が予定より長く(3ヶ月間)掛かったこと,工事期間中水漏れ事故を起し下の部屋の住民に迷惑を掛けたことから,平成5年度山本副理事長を仲介役に「3-1-408号室改修工事に伴う居住者との説明会」が開催され,秀島氏はリホーム工事期間中にご迷惑を掛けたことを陳謝し,近隣住民からの要望を受け入れるよう話合いが行われた。この中には,「被害補償を全面的に負担することを約束せよ」と言う強硬な要求も存在した。

 平成10年の補修工事において3-1-408号室ベランダに重量230Kgの大型ガスヒートポンプ空調機が設置されていることに気づいた「補修工事常設役員会」の彼らは,補修工事の障害になると騒ぎ立て,「補修工事実行委員会ニュース」に「建築協定違反」と書き立てその取外しを強要した。
 3-1棟別会議(平成10年8月22日)において一部住民からも執拗に大型空調機の撤去を要求されたことから,秀島氏の奥さん(ご主人は他界された)は,弁護士を立てて争う意向であった。
 しかし,工事後においても管理組合側(理事会+常設役員会)と隣人住民が再取り付けを許可しなかったため,結局,病身の秀島氏の奥さんと娘さんはこの団地を出ることを余儀なくされてしまった。そして,転居後この団地に戻ることなく亡くなったのである。10年後の現在なお408室は空屋のままである。

(関連資料)
 資料23;3-1-408号室改修工事に伴う居住者との説明会議事録(平成6年2月20日)
 資料24;上記議事録に対する秀島氏側コメント(平成6年8月24日)
 資料25;技術上の質疑応答メモ;3-1-408号室改修工事業者;林寛治設計事務所(平成6年8月24日)
 資料26;3街区1号棟の補修工事に関連する件(要望)3-1-503小原鋭一(H10.8.7)
 資料27;秀島氏の代理人;大森弁護士から理事長宛ての通知書(H10.8.24)

3.4 リホーム業者を「悪徳業者」として公表
 補修工事実行委員会側が公表したリホーム工事でのいわゆる「建築協定違反」と名指しで摘発された世帯件数は正確には判明しなかったが,バルコニーに給湯器を設置した世帯数は70件以上であるとの報告もある。
 「頭の黒い白蟻」と名指しで弾劾された「多摩リホーム」の経営者は,これはまるで「ポルポト派」か「スターリン」のような粛清である」と補修工事実行委員会側の言い分は一方的な誹謗・中傷だとして反論のビラを団地内に配布した。(H10.8.10)しかし,補修工事実行委員会側はそれからも何度となくリホーム工事業者に対して激しく断罪し続けた。

(補注)
 彼らは,リホーム工事を請け負った業者名を聞き取り調査で調べ上げ,「補修工事実行委員会ニュース」の広報を利用して,技術的な裏づけもなく素人感覚で「違反工事を平気で行った悪徳業者」と断定した上に彼らを名指しで痛烈に非難(誹謗・中傷)したのである。以下の関連資料28 - 33を参照。
 摘発されたこれらリホーム業者が果たして「違反工事」を行ったのかどうかはどれも正確には検証されていない。彼ら(素人)の一方的な判断である。

(関連資料)
 資料28;補修工事実行委員会ニュースN0.12;なんでも探偵団(4月30日)
 資料29;補修工事実行委員会ニュースN0.13;なんでも探偵団(5月20日)
 資料30;補修工事実行委員会ニュースN0. 15;こんな工事を誰がした (6月22日)
 資料31;補修工事実行委員会ニュースN0.16;こんな工事を誰がした (7月15日)
 資料32;「多摩リホーム」の経営者からの反論(H10.8.10)
 資料33;補修工事実行委員会ニュースN0.20;なんでも探偵団(9月30日)
 資料34;補修工事実行委員会ニュースN0.22;お知らせとお願い (11月16日)
 資料35;「多摩リホーム」の経営者からの反論(H10.8.10)


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