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日本破産を生き残ろう
国語を教えるか言葉を教えるか
若者の活字離れはなぜ
若者の活字離れはなぜ

 日本語の知的言語性を疑わせる兆候は、いくつか出ています。いちばん顕著なのが、若者の活字離れです。今、二〇代の若者は、楽しみに本を読むことは少なく、マンガしか読みません。頭の中で言葉を使って考え、それを楽しむという生活習慣が、急に弱まっているようです。これは欧米では聞かないことで、日本語の問題と考えざるをえません。日本語は、知的に若者を興奮させる魅力に欠けているようです。スピード、リズム、表現力に問題があるのだと思います。
 そのうちでも、話す時のスピードが、いちばん問題だと思います。話す時は、速いほうが人は注意を集中し、興奮します。ところが日本人のスピードは、英語の二分の一以下なので、話を聞いて頭がフル回転というわけにはいきません。NHKのアナウンサーがとくにのろいのです。ニュースステーションの久米宏が受ける理由の一つは、彼が早口だからでしよう。
 表現力も乏しい。NHKでは、政治家の発言は判を押したように「という考えを示しました」としか言いませんが、英語ではexpressed(示した)、revealed (洩らした)、stressed (強調した)、confirmed (確認した)と、もっと血の通った表現を使います。
 私自身は、英語を聞いている時と日本語を聞いている時では、頭の働き、身体の中の血の流れが、まるで違います。英語だと心臓がよく動きます。だから頭と体の健康のために、一日最低一時間は、米軍放送(AFN)を聞きます。ボケ防止策です。
 日本語の知言語性を疑わせるもう一つの徴候は、日本人の外国語習得能力の低さです。日本人の英語力は、世界一八五カ国中一六七番目、セネガルなどアフリカ途上国なみです。
 これは日本がアジアにあることが原因ではないことは、米国留学志願者が受けるTOEFL試験の結果を見ればわかります。日本はアジアのどの国にも抜かれているからです。
 中国語は、英語からは、かけ離れた言語です。名詞、動詞の区別がなく、前置詞がないことに着目すると、「てにをは」のある日本語のほうが、英語に近いと忠うほどです。しかし、中国人のほうが英語をマスターしやすいのです。数年の修練で、英米人が脱帽するような完全な英文を書く人が多くいます。これは、言語の基礎にある概念、つまりもののとらえ方が、英語と中国語で共通点が多いことを示唆しています。概念が共通ならば、あとは機械的な翻訳だけですむはずです。これに対して、私たち口本人は英語を学ぶ時、英語の考え方として、英語での概念、物のつかみ方から学ばねばなりません。ここで差が出
るのです。
 「やまとことば」は概念が単純で未分化であるのに対し、中国語も英語も概念が分析的で綴密です。たとえば、「かげ」は中国語では「陰」または「影」です。これは英語のshade と shadow に正確に対応しており、厳密に使い分けられます。「かえる」も、中国語では一つの概念ではなく、「変」「換」「替」「代」と別々の概念です。中国人はかならず、どれであるかを区別して考えています。これらの語は英語の vary、change、replace、substitute に正確に対応しており、英語国民もやはり、中国人と同じくじく別の概念で考えているのです。
 したがって、このような区別があいまいな口本人にとっては、まず漢字の使い方を止確にマスターするのが、英語をマスターする近道でしょう。決して仮名で「かえる」と書かず、変、換、替、代のどれかの漢字を書くようにすれば、英語を書くための概念形成ができるはずです。明治人には立派な英文の書物を著わし、世界的に有名になった人が多いのですが、これは、漢籍の素養がしっかりしていたからだと思います。
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