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どうしたら独創的研究ができるか
独創はむずかしい,なぜ
 独創はむずかしい,なぜ

 論文を通す際もポスドクに応募する際もまず独創性が要求される昨今ですが,独創的な研究をする,続けるということは容易なことではありません.実際には,若い人に向って独創性を当然のことのように求める教授自身で「独創的」と弟子や周囲から評価される人は少ないと思います.こと独創性に関しては,周囲の目は厳しいし,正確です.たとえば私の世代の教授が文句なく独創的と評価するのは物理学の南部陽一郎(シカゴ大)一人です.彼は東大の出身ですが,他の東大出身者には独創的といわれる人が少ないと思います.例外の一人はゲノム解読の和田昭允です.私が工学部でよく知っていた同僚教授のうち独創性の高い人と思ったのは藤嶋 昭です.彼は横浜国大の出身でした.
 独創的研究をすることがなぜそんなに難しいのか.ふつう説明としてまずもちだされるのは能力と心構えの問題です.その際,何人かの天才偉人の例を引いて,能力ははじめからあるわけではない,能力はあとからついてくるとまず心構えを強調するのが「独創論」の決まったパターンです.唯一、そのような議論から抜けているのは「仕事の成功はほとんどが運だ」という経験者だけが実感している主張です.私もこれを若い世代に伝えたいとおもいますが、言葉につまります.経験者が語るなら「運とは何か」,「天から降ってくるものか人から与えられるものか」,「待つべきものか,引き寄せるものか」,「引き寄せる努力とはどんなことか」といった問に答えなければならないからです.
 以下ではそれをやってみましょう.ただしこれが独善的「独創論」になるのを避けるため,「なぜ独創はむずかしいか」を理論的に解明するつもりです.そのため方法は「矛盾分析法」というべきものです.つまり,独創のような行為は必要だが矛盾する二つの側面から成り立っていると見るのです.矛盾とは両立が難しい事柄です.独創が成功するためには、この両面が十分に強力である必要がありますが、両者は矛盾するので、ちょっと油断すると、一方が支配的になって、バランスが崩れてしまいますし、バランスばかりを気にすると、両面ともに弱くなってしまいます.いずれにせよ独創の実現は困難です.ここでいう矛盾する二つの側面とは行為の場合もあるし人物の場合もあります.それも一組には限りません.同じ行為も見方を変えればいろんな側面が矛盾としてあらわれるからです.これを独創について行うのが以下の試みです.
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