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国際文法感覚で作った新日本文法 N文法
I 部 研究の目的と方法
3 問題の根本はなにか
3 問題の根本はなにか
3.1 日本文法の問題点の根本原因の認識
  日本文法はこのような大きな問題点を持っており、その原因はきわめて根本的と見られます。今までこれについて、文法学者の間でどのような反省がなされたかは、知りませんが、私は自分の言語的体験から、次のように感じて来ました。つまり、日本語は孤立語とも屈折語とも違う膠着語なのに、膠着語の発話心理を支配している膠着語独自の文法を作るという研究がなされる前に、孤立語である中国語や孤立語に限りなく近い英語を下敷き(template)にして、それからの「はみ出し」を日本語の特性とする日本文法の骨格ができてしまった。そして一旦形成されたゆがんだ骨格は、それがあまりに基本的なものであるために、それで育った研究者では、そのゆがみを自覚することは不可能であり、不都合は認識されつつも、現在にいたっているということではないかと思います。
  この「はみ出し」は具体的にいうと日本文法における助詞と助動詞です。日本文を中国文の上に重ねて見た時、はみ出した字は助詞あるいは助動詞とされ、文の中では一段低い位置付けをされました。あとで見るように膠着語の中では、これらは文の論理構造上、決定的に重要な意味をもつにもかかわらずです。文法学者は助詞、助動詞について相当な研究努力をしたが、膠着語では語幹と一体となって機能しているのに、それを切り離して論じては、発話心理にせまれず、実用に役立つ結果はほとんど得られていません。

3.2 膠着語と他言語との根本的な違いの認識
  膠着語の第一の特徴は、膠着という定義の通り単語が独立に存在しないことです。これに対し屈折語では単語と単語はスペースで仕切られており、単語の存在は一目瞭然です。中国語では、一字が一音で同時に一単語ですから単語の存在は明瞭です。二字で一単語の語も多いのですが、これは単語二個で作れる複合単語です。
  日本語のもう一つの特徴は、動詞、名詞、形容詞などの品詞の区別が十分には明確でないことです。屈折語ではこれは明瞭ですが、区別が明瞭でないのは日本語だけではありません。中国語では動詞を含む概念については動詞と名詞の区別はありません。文脈の中で前後関係から役割が区別されるだけです。また原始日本語の基礎となったと考えられるポリネシア語では、気持ちを表す言葉で動詞と形容詞の形が同じです。これは日本語も同じです。

3.3 日本文法作り直しにまず必要なのは何か
  日本文法を作り直す仕事は、したがってまず単語と品詞を確立する仕事から始めねばなりません。確立するという意味は客観的な必然性を持って確立することです。「がを単語とする。助詞という品詞を作り、がをこれに入れる」 というように恣意的に単語や品詞を決めることはできるのですが、こうして作り上げた文法体系は、人間が共通に持つはずの国際的文法感覚から, まったくずれて、奇妙なものになる可能性があります。恣意的でなく、客観的な単語、品詞の確定とは、それを基礎に作り上げた文法体系が、普遍的な文法感覚に合致していることです。


どのように研究したのか
  研究を1) 単語構造の研究と2) 文構造の研究 に分けて、以下に説明します。それぞれの研究について設定した具体的目標、研究をすすめるに当たっての基本原則、研究の手法、具体的に作業をすすめるに当たっての基本仮定を示します。次に作業の結果から見出される新しい事実に基づく法則性の発見とその妥当性のチェックの方法について述べます。

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