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国際文法感覚で作った新日本文法 N文法
III部 [研究結果] N文法の品詞分類と品詞各論

1 分析用具としてのN記号体系
  今回の研究全体の基盤となった作業用具が N記号体系である。N記号は、品詞を大文字、特徴的な音を子音化し、添字のような小文字でつけることが特長であるが、初めから、以下に紹介する現在の形があった訳ではない。はじめは、名詞、動詞以外の品詞は未決定だったから、臨時の用具を使って、試行錯誤で、記号体系を確立していかねばならなかった。その結果生まれた現在の体系を「N記号体系」と呼ぶ。
N記号による変換の例を梹送ソ1に示します。

  特許と出版の関係で完全な説明はできないが、大体のことは今後の説明で明らかになるはずです。

2 N文法による品詞の分類
  N記号体系による表現と国際文法感覚による検討を繰り返した結果、品詞は
名詞、
動詞、
形容詞、
副詞、
助動詞、
接続詞
の6種となりました。記号ではM, D,K,H,J,Sです。
  現文法との最大の違いは助詞がないことです。今まで助詞とされていたものは、名詞の 格語尾か接続詞に編入されています。
  助動詞も言葉が現文法と同じですが意味は違います。現文法では単に動詞語幹からはみ出した言葉でそれがさまざまなニュアンスを運ぶというイメージですが、N文法での助動詞は屈折語の助動詞に近いものです。

3 名詞

3.1 名詞の格、格語尾と機能の一覧表
  検討の結果、N文法では格の数は12 になりました。格は格語尾とその意味と役割で特長づけられます。12の格とは
開始格(は)、
主格(が)、
所有格(の)、
目的格(を)、
方向格(に)、
手段格(で)、
みなし格(と)、
一緒格(と)、
択一格(か)、
追加格(も)、
離脱格(から)、
並列格(や)
これは、科学論文から文学にいたる、さまざまな分野とさまざまな著者の文章、字数にして約1万字、を分析した結果で、一覧表を 梹送ソ2に示します。
  多数の実例分析の結果わかったことは、どの格も複数の機能を持つことです。 資料2はまとめですが、基礎になった機能別分析結果を梹送ソ3に示します。

3.2 注目すべき結果 
  多数の実例分析の結果を較べると「は」と「が」の違いは非常にはっきりしました。「は」と「が」の機能で共通なのは動詞、主語だけであとは違います。「は」の特徴的な機能は、定義、話題開始、否定先行、疑問先行です。特に否定する場合の警告信号としての「は」の役割は重要です。また「が」の役割で注意しなければならないのは動詞の主語ではなく目的語に使われる場合が少なからずあるからです。
  助詞ではなく格語尾と考えると納得しやすいのは「と」です。現行文法では、「と」は接続詞で、英語の and と等値されていますが、心理的には「と」とandは違います。孤立なもの二つをつなぐ接続詞ですが、一緒になっている状態を表すのが「と」です。したがって「あなたと別れる」という表現が自然なのです。

4 動詞

4.1 動詞の音韻分析
  日本語の特徴は母音の数とその配列に激しいえり好みがあり、それが心理効果を持っていることである。名詞としては4音語と3音語だけがもっぱら使われるが、3音語は中途半端、
不安定な感じで、4音語が落ち着く。
  母音系列についてもえり好みが激しい。これを2 音動詞、3音動詞について確かめた。
  梹送ソ4 に全部の結果をしめす。

興味ある結果
  動詞は「る」で終わるもの(る動詞)と「る」以外の「く」「す」で終わる動詞(非る動詞)がほぼ同数。このうち「非る動詞」では最初の2音はAA、AO、OA、OO、UA、IAであって他はない。「る動詞」ではEで始まるものはない。UO、UI、IA、IO、IUもない。
  活用の仕方は「る動詞」が「る」の前の母音によって「いる動詞」と「える動詞」に別れる。このうち「いる動詞」の活用は「非る動詞」と同じで「える動詞」だけが特殊。

4.2 日本語母音特性の発見
  上述の研究の結果、動詞の活用の仕方は、母音継列だけで決まっていることがわかった。現行文法では、4段活用、上一段活用、下一段活用というように分離されているが、特定の動詞の活用が、どれになるかは、すべて母音系列に対応しており、それによって決まっていることがわかった。
さらにわかったことは、母音といっても、A, I, U, E, O ( あいうえお) の5 個の母音の性格が、まったく独立に別々なのではなく、同じ規則に従うと言う意味で、似ていて、一つのグループとして扱えるものもあるし、まったく別のグループとして扱わねばならないものもある。結論から言うと、A, O, U は、似ていて同じルールに従うのに対し、Eはまったく特別です。I は、大体において、A, O, U と同じ規則に従う。したがって、「あいうえお」を、音韻類似性の観点から並び替えると、「あおういえ」になる。

新「あいうえお」の提案
  日本語の規則性を見るには「あいうえお」ではなく「あおういえ」が良い。梹送ソ4の動詞の分類整理も、「あおういえ」でおこなった。これによって規則性の発見が、容易になった。辞書の50音順も 「あかさたなはまやらわ/おこそとのほもおろお/うくすつぬふむうるう/いきしちにひみいりい/えけせてねへめえれえ」とすれば、字順も記憶しやすく、言葉の規則性も見やすいはずである。

4.3 動詞の活用表
  国際的文法感覚に合わせて、日本語動詞の活用表を作ってみた。動詞の法は直説法現在と過去、それに仮定法で、直説法は終止、否定、中断、接続、可能、可能否定、継続完了の7つの態に分かれる。それ以外に動名詞と形容動詞と合計で19の変化態がある。
  活用の仕方は動詞によって違うが、動詞を「る動詞」と「非る動詞」に分け、{る動詞}をさらに「いる動詞」と「える動詞」に分けると、「える動詞」以外は同じ活用変化をすることが分かった。

注目すべき結果 
  出来上がった動詞活用表 梹送ソ5は幾つかの点で作者自身を驚かすものであった。まず第一はなんとなく「曖昧だ」と思っていた日本語の時制が精密に屈折語の時制に対応していることだ。現在完了、過去完了、仮定法過去、動名詞、形容動詞などがそれだ。仮定法現在の時制が過去であることも西洋屈折語と同じで、国際文法感覚が確かに存在することを確信させる。
  ただし、動詞の語尾変化だけですべてが表現されている訳ではない。現在・過去完了形はいるIuという助動詞の助けで作られている。いるは動詞であると同時に助動詞であり、これも英 独 仏語におけるhaveと似ている。仮定法の語尾 れば、たら、していたら は接続詞 Sである。
  仮定を前提として希望、推定、やわらかな断定を表す接続法は仏独語では動詞の活用形として確立しているが、英語では助動詞willの過去形wouldを用いるだけに簡単化している。つまりそれは希望的推定態を表す助動詞の問題に還元されていて、動詞の接続法の問題ではなくなっている。日本語でも事情は似ていて あろう という助動詞を付加するだけの問題になっている。したがってこれは助動詞の項で取り上げる。

「ら抜き」言葉の正統性
  一つ非常に興味のあるのは、N文法では可能を表す「ら抜き」言葉を正当化したことである。これは意見とか主張ではなく、すべての動詞の活用を一覧して眺めた時、首尾一貫性を原則とするならそれが明らかに正しいからである。つまり可能性を 食べられるとら をいれて表現するのは、活用表を見れば分かるように「える動詞」に限って見られる特異現象である。これは 食べれる、受けれる と「ら抜き」にするのが形式と意味の両面kら正統である。

5 助動詞


5.1 助動詞の一覧表
  日本語文法では動詞に付随する言葉で、変化活用するものが助動詞とされています。変化しないものは、助詞に区分されます。「あらまほしけれど」なら「あら」と「ほし」は動詞、「けれ」は助動詞、「ま」は助詞、「ど」は接続詞です。したがって、動詞語尾の た, れる, られる も助動詞とされます。これに対し国際文法感覚のN文法では、これらは、動詞の活用語尾とみなし、動詞の中に含めてしまいました。
  国際文法では、助動詞とは、断言、想像、可能、希望などの動詞の態を表すものです。N文法では、助動詞の定義を、この国際文法感覚に合わせ、一つの品詞として認識し、J と記号化します。したがってN文法の助動詞は、動詞が表す状況、つまり態によって分類されます。実例分析から拾い上げた助動詞の一覧表を 梹送ソ6に示します。
  これを見ると、現代日本語は、英語の助動詞を、そのニュアンスをふくめ、実に精密に表現できることに驚かされます。これは、表現したいことの英語表現ができてしまえば、これを正確に日本語におきかえることは、可能であり、容易であることを、意味します。西欧語での表現力が高い人が、日本語での表現力も高い理由は、ここにあるのでしょう。
  この表には、上記の定義では、助動詞でないものが二つ入っている。一つは終止の * であり、一つは可能の る である。 これらについては、説明を要する。

5.2 終止の助動詞*
  * を入れた理由は次の通りである。日本文は終末に神経を使う。意味上は単に「した」だけでよいのに「のだ」をつけたり「のである」を足す。それでも十分でなく「のです」とする場合もある。この終止語尾によって、著者の読者への態度も、論述の信頼性も、判断される場合が多いので、終止表現の助動詞は多彩になる。しかし、それは文の意味内容には、かかわりないことなので、すべてまとめて単純な終止表示 * で表した。
  屈折語には終止を表現する単語はない。S+V+Oという文の構成上、自然に文が終わるからである。文章上はピリオッドを打って終止を確定する。* はピリオッドに相当する。

5.3 可能の助動詞「る」
  可能態の る は「る動詞」の る と文章心理上混同されやすいが、まったく違うので注意する必要がある。これは活用変化するので助動詞であるが、終止形ばかりでなく接続形も多用され、動詞の性格が強いので「J」とせず「Ru」とした。

6 接続詞

6.1 日本語における接続詞
  日本語では動詞は一つの文の最後に来ます。この動詞の活用語尾の後には表したい動詞の態に応じてさまざまな助動詞がつきますが、それで文が終止するとは限りません。終止する場合もありますが、終止せずに短い言葉を挟んで次の文が始まるのが普通です。つまり言葉を挟んで文がつながる訳ですから、この言葉をN文法では接続詞と呼ぶことにします。
  ただしこの文章では、意味が曖昧で二重の意味になっているので、言葉を足しておく必要があります。文にはSentenceとClauseの二つの意味があります。日本語で区別するならば文と文節(あるいわ節)です。文節は動詞を含んだ文章単位です。したがって文節は動詞を1個だけ含み、1個以上は含まない単純な文章です。上で「動詞は文の最後に来る」と言った時の文は文節のことで、「文が終止するとは限らない」と言った時の文は文節より大きい方の文のことです。したがって接続詞は文節と文節をつなぐ言葉です。

接続詞の一覧表
  一つの文節が文の終止ではなく、次の文節につながる場合、この文節の役割は後続文節に対し、前提や理由を示すことです。カテゴリーに分けると、それは時期、条件仮定、条件譲歩、理由に分類されます。それぞれに対する日本語での表現を実例分布から拾い集めて示したのが接続詞一覧表 梹送ソ7です。

6.3 日本語における接続詞の重要な役割 
  接続詞はこのように前提文節の末尾になっています。したがって接続詞は文を文節に分解する時に重要な役割をします。終止文節ではないすべての文節が前提文節なのではなく、形容文節もあるのですが、前提文節が大半を占めるので接続詞に注目して文を切れば、構成要素となる文節を見出すことができます。さらに接続詞の意味、役割を知れば後続文節に対する論理構造上の関係も明らかになります。

6.4 接続詞の意味をあらわす構造記号
  このように、接続詞は、日本文の論理構造を、意味ではなく、形態の側から明らかにしようとする場合、非常に重要な役割を果たすものです。接続詞が構造指標として重要な意味を持つのでN記号体系ではこれに対しては、特別な構造記号を与えています。
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