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システム工学とはどんな学問か

 システム工学とはどんな学問か
 
頭の中をシステム化する          
 同じ週に、私の担当しているシステムエ学の講義がはじまります。.私はつぎのように講義をはじめました。
「ただいまからシステム工学の授業をはじめます。最初にまず質問しましょう。諾君は、システムエ学はどんな学問と考えていますか。たいていの人は計算機に関係した学問と考えるでしょう。たしかにこの授業では毎回コンピュータを使います。しかしコンピュータを使えばシステムエ学ではないのです。
 システム工学は、大きな複雑な問題を解くための方法です。問題を解くといっても数学のことではなく、もっと実践的な実際的な問題にたいする解決のことです。
 ところで、多種多様な問題にたいする解決法をいちいち教えたり、ならったりすることはとてもできません。できることは、問題を解決する能力を飛躍的に高めることだけです。この授業の目的はそこにあります。ですからこの授業は、私が講義をして、諾君がノートをとるという講義の形式はとりません。たえず私が質間し、諾君に考えさせ、その答えを見せてもらって、すぐ考えたりないところを注意します。そのため、私はいつでもこの小さいメモ用紙をたくさんもっているのです。教室では、諾君は私と一対一で対話していると思って、たえず頭を使ってください。
 問題解決能力を養うといいましたが、諾君は、小学校以来、勉強といえぱ問題練習をやっているので、問題解決能力はけっして低いとは思いません。
 私は最近、入学試験の監督をして驚いたのですが、数学の試験で、「はじめ」の合図で問題用紙をひらくと同時に、サラサラサラと答案を書きだす人が多いのですね。正直いうと、私なんか一〇分以上考えないと解法が見つからなかったですよ。
 きびしい受験をくぐってきた君たちの場合もそうだと思いますが、このタィブの問題だったらこういう方法で解くというように、解法がパターン化されていて、間題と解法がワンセットになって頭にはいっているのでしょう。だから解きだすのがはやいのでしょう。
 これはちょうど、東京から岡山にいくなら新幹線、松山にいくなら飛行機というように、行き先に応じて、いちばんはやくゆける方法だけをおぼえているようなものです。これは出発地と行き先がきまっている時はよいのですが、岡山から松山に行くにはと聞かれたら、たちまち困ってしまいます。
 君たちが実際の仕事の中でぶつかるのはそういう間題です。これにたいし、いろいろな行き先に応じていちいちルートをおぼえておくなんてことは無理で、頭の中にしっかりした地図をいれておくしかありません。
 知識をもちいて間題を解決する人は、知織の地図を頭の中に入れておく必要があります。地図といっても、知識にはできあいの地図はないのです。
 ならった知識というのは、はなればなれの村や町のようなもので、おたがいに関連がありません。これを自由自在に使える知識にするには、その間に、自分で網の目のように道をつけて、一つのまとまった知識に変えてやる必要があります。地図をつくるというのは、自分でこういう道をつけることです。
 諾君の中には、知識をならうほかに、知識をむすびつけている網の目のような道までならってしまえばいいじゃないか、という人がいるかもしれまぜんが、それは無理です。道のつけ方は、その人の関心と目的によって決まることだからです。
 それにだいたい、まず知識があってそれをつなぐ網の目ができるのか、網の目がまずあって、それに網で魚をとるように知識がひっかかってくるのかよくわかりません。もしかしたら、後のほうかもしれません。
 新しい仕事をする時がそうです。最初から知識や情報があるのでなく、それは途中でさがしだし、つくりだしてゆくものです。この授業の目的は、諸君の頭の中にこの網の目のような構造をつくりあげることです。誤解をおそれずにいえぱ、諾君の頭の中をシステム化することです。これがシステム工学学習の目的です。
 ではきょうは、システム工学とはどんな学問なのか、どうして生まれたのか、もっとも基本的な考えはなにかということをお話しましょう」

 私はこうしてシステムエ学の講義をはじめました。この最初の部分はみなさんにもわかるし、興味もあると思いますから、少しやさしくしてお話することにしましょう。

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