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調査委員会の結論への不服申立(西村)      2009.01.22
「典拠文献の選択、逆転利用、結果隠匿、数値改ざん の4点への判定が不服」

                                2009年1月22日
                   不服申立書

東京大学科学研究行動規範委員会 委員長殿
東京大学農学生命科学研究科 研究科長殿
  
                           所属 工学部
                          連絡先  Jimnishimura@aol.com
                           氏名 西村 肇

 平成20年8月11日付で私が申し立てました「鈴木譲の改ざん」について予備調査委員会の報告書が1月13日付で送られて来ました。その結論は私が申し立てた改竄関連4項目(申立書 1, 2-1, 2-2, 2-3 項)の事実認定と違反性判定において、全面的に被申立人の弁明を採用し、意図的改ざんを完全に否定するものになっています。これは予備調査の結論としては、著しく妥当性を欠くのでありますので、不服を申し立てます。

1)不服な判定箇所

1) 典拠文献の選択が 不正であると判定するのは難しいとしている点
2) 典拠文献の結論の無視逆転利用が 許容されている範囲と考えられるとしている点
3) 典拠文献の結果の隠匿について 本学研究行動規範に抵触するかどうかを判断することは避けるべきであろうとしている点
4) 典拠文献の主要データの改ざんについて、被申立者は「意図的な改竄ではなく記憶違いである(中略)」と述べた。引用数値の間違いを訂正する記事を速やかに掲載すべきである として意図的改ざんを否定した点

2)委員会判定を不服とする理由

1)一般に見られない文献を利用する時、結論を黙って逆転し、自説の論拠としてもよいのか

 藤木教授の論文の結論をまったく引用せず、逆の主張に利用したことも委員会は許容される範囲としています。しかし、引用しないのが許されるのは、同趣旨のことを主張する時です。また反対のことを主張するのに「引用せず」が許されるのは藤木教授がよく知られていて、あえて引用する必要がない場合に限ります。これに対し、鈴木教授が行ったことは、「エラからではない。えさから」という自説の典拠の一つとしての藤木論文の引用です。この場合なら「藤木論文の結論はエラからとなっているが、これは実はかくかくの理由で間違っているのであって」という但し書きと理由説明をつけるべきです。ところが鈴木教授はそれをまったくしないで自説の典拠として藤木論文を引用しているのですから、誰しも、藤木教授の結果は鈴木教授の説を支持している、と思わされるでしょう。私もそうでした。そう思って読んだ藤木論文の結論は「汚染したエサによる水銀蓄積は予想に反し非常に小さかった。結局、海水に溶存しているメチル水銀の魚への移行が決定的であることが確認された」となっています。
 これだけはっきりした研究結果に接したら、自らの学問的常識を、再考・再検討するのが、研究者の常識と思います。少なくとも「エラからの取り込み説」への攻撃をやめるのが当然と思います。これの対し、見ているがそれを意識的に忘れて攻撃を続けるのは科学者倫理に反します。さらに文献名だけは挙げるが、その結論はまったく伏せて、結論が逆の自説を支持する典拠と思わせるなら犯罪です。●●●●●●●●●のは、この文献が一般にはまったく見ることが出来ない、という事情を利用してそれを行うことです。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が、委員会判定はこれを許容される範囲としています。行為の意図と行為のつながりを、全く無視した結果の判定です。

2)一般に見られない文献を利用する時、その文献が自説と逆の結果を示しているのに 原文献の結果を引用せずに隠匿し、まったく逆のこと主張する論拠としてもよいのか

 鈴木教授が自分の論文の中で藤木論文を典拠としながらも、主要結果を示さなかったことについて、委員会は倫理違反か否かの判定は避けるべきである、としていますが、これは明らかに間違った判断です。添付の藤木論文の唯一の図は、藤木らの実験結果すべてをを端的に示す図ですが、これを見ると、エサからの取り込みより、海水からの直接取り込みが、圧倒的であることが一目瞭然です。この実験結果を知りながら、一切これを批判検討することなく、正反対の論文を書いたのが、鈴木教授です。予備調査委員会は、それが研究者倫理に違反するとは言えない、と判定していまが、もし鈴木教授が、論文中にこの図を引用したならば、論文は書けなかったはずです。
 つまり鈴木教授は、この図を入れては論文が成り立たないから、この図を入れなかったのでしょう。これを研究者倫理に違反するとは言えない、というのが委員会の判定です。「本気ですか」と言いたくなります。

3)一般に見られない文献を利用する場合、見られる特殊ルートが一つあれば、これを公知の文献として扱い、原文を引用せずに 結論を逆転利用してもよいのか

 これについて委員会は、委員の一人が、鈴木教授から聞いて入手できたことを根拠に、全く入手できないとは言えないと反論しています。したがってこの文献を典拠にしたことが不正とは言えないとしています。これに対し私は、この文献が普通には決して入手できないこと、委員が入手した経路が極めて特殊なものであったことを事実をもって申し立てます。
 鈴木教授から水産学会に投稿したという原稿を受け取った直後、私は鈴木教授に電話し、藤木論文のコピーを送ってくれるよう頼みました。2?3日待っても送ってこないので、水俣にある「水俣病研究センター」の藤木素士所長に電話で依頼しました。このセンターは、水俣病関係の資料をよくそろえてあり、ご自分の論文は当然図書室にあると思ったからです。ところが藤木先生の答えは、「その論文はセンターには置いてない。自宅にしかないので、週末自宅に帰ったら送る」ということでした。4?5日はかかりそうでしたので、待てなかった私は、環境庁特別疾病対策室長の弟子に依頼しました。これは、環境庁の委託研究レポートですし、もう大分時間が経っているので問題ないと思ったのですが、担当者から返ってきた答えは、「そのレポートは行政目的のもので、閲覧に供していない。公共図書館は、どこも同じはず」ということでした。
 委員の一人は「水俣病資料館」という所からコピーを入手したということですが、そのコピーは、汚れ具合から見て、鈴木教授が私に送ってきたコピー(添付資料)とまったく同一でした。すぐわかる通り、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● それか所蔵されたものと思います。委員会が、コピーを入手できたのは、鈴木教授から、この特殊ルートを教えてもらったからであって、一般の図書館では決して見られないことに間違いありません。

4)原文の数値を自説に有利なよう1/100 にしても 記憶違いですと言って、発表論文の数値訂正さえ行えばよいのか

 委員会は鈴木教授の改竄の前段階行為について、上に述べたような大胆な判定を積み上げた後、肝心の改ざん行為については、「記憶違いによるミス」という鈴木教授の弁明を、「多少不自然」とはしながらも全面的に認めて、意図的改ざんを完全に否定しています。その結果、発表論文中の数値を訂正しさえすればよいと、無罪放免に向けての判定をしています。
 これは、鈴木教授が東大ホームページに出した研究成果「『水俣病の科学』の誤りを発見」が根拠になって、出版元である日本評論社にたいしては発行停止、毎日新聞社に対しては「毎日出版文化賞取り消し」の執拗強力な要求と抗議を受け、その対応に何ヶ月もの間、心身消耗させられた被害者としては、決して認めることが出来ない判定です。

3)判定全体の根本的問題点

 改ざんもその一つである詐欺罪では意図的なうそか、そうでないかが判断の分かれ目になります。自分の言葉に責任を感じない精神薄弱者の「うそ」は免罪になります。しかし、そのためには精神薄弱の認定が必要です。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。精神能力健在とは「善悪判断能力」「責任能力」ありということだからです。

1)重要なのは意図的か偶然かの判定、要求されるのは合理的説明

 犯罪は意図、目的をもってなされます。意図なしに起こされた事件は単なる過失であって犯罪ではありません。したがって犯罪を裁く際、最重要なのは意図的なものか偶然的なものかの判定です。その判定は決して主観的なものではなく、犯行の前段行為を調べればわかることです。人を刺したのが偶然であると主張しても、その前にスーパーで包丁を購入していれば意図的とみなされます。この二つをまったく切り離してしまえば、スーパーで包丁を買うことは違法ではない、それで人を刺したことは偶発的という弁明ができますが、これは刺す目的を持って包丁を買ったという告発に比べ、著しく合理性を欠くとして退けられます。両者の違いは前段行為を含め、行為全体をつながりがあるものとして見るか、まったく意図しなかった行為が偶然的に積み重なったと見るかの違いです。犯人は当然偶発的積み重ねを主張せるでしょうが、裁判でそれがそのまま認められことはありません。

2)倫理性の判定においては行為者の目的、動機解明が不可欠です

 行動規範予備調査委員会の判定は、鈴木教授の改ざん行為の直接被害者である私にとっては、まったく承服しがたいものですが、委員会の判定がそうなったのがやむを得ない点もあります。それは犯罪行為を調査・分析し、判定を下すには被疑者がそのような行為をした動機・目的の解明が不可欠なのに、この委員会はそれをする任務も資料も与えられていなかったからです。そのような条件下では、委員会の結論は初めから「意図的な改ざんの否定」にならざるを得なかったと思います。本人が認めない限り、意図的であることを判定する材料・方法がないからです。
 しかし、人の行為には必ず動機と目的と事情があるというには犯罪捜査の鉄則です。この認識の上に立って調査が行われれば、関連する事項は無理なく関連し、偶然の不思議な積み重ねやそ、説明困難な不自然さはなくなるはずです。

4)調査のやり直しを要望します

 以上の観点に立って、私は東京大学科学研究行動規範委員会に対し、鈴木教授の一連の行為の動機、目的、事情を調査の上、改ざんが意図的であったか、単なる記憶違いであったかの判定を下していただくよう強く要望します。この要望についてご検討いただく際の資料として、鈴木教授の一連の行為がいかなる目的でいかなる事情のものに行われたかをまとめた申立書を添付いたしました。

鈴木教授の行為についての申立書の要点

1)目的:鈴木教授の目的は「水俣病の科学」の誤りを指摘し、「同書の誤りは明白であり正さなければならない」という主張を広く一般に広めることと見ます。
2)動機:鈴木教授が2005年、たまたま水俣病フォーラムに出かけたとき、「水俣病の科学」を疑問、敵視する人々から、同書にある「エラからの水銀取り込み機構」について感想を聞かれた際、「魚類学の専門家から見てそれはまったくの間違い」と発言したことが大きな反響を呼び、注目されたのが始まりです。
3)事情:「水俣病の科学」を敵視する人々は鈴木教授が「同書はまったくの間違い」という論文を学会誌に発表してくれることを強く期待していました。そうすれば同書を発行停止に追い込めるからです。そのための支援は、怠らなかった筈です。藤木論文の非正規コピーもその人たちからの入手したと思われます。私との研究上の接触についても、相談たのではないかと思います。、私の方から個人的な討論を提案しても、公開討論を提案しても、鈴木論文と答弁論文の同時掲載を提案しても全て理由をつけて断られたことです。
 また、2007年1月、東京工大での講演の際も、いきなり立って「あなたはなぜ『水俣病科学』再販の際、私が注意した点を改めなかったのか」と質問ではなく詰問調でした。聴衆への効果をねらった活動家のような発言でした。鈴木教授の個人の判断とは思えません。
                                   
                                          以上
添付書類
1)藤木教授から受け取った 藤木論文 コピー
      
2)鈴木教授から受け取った 藤木論文コピー 
  (委員会が「水俣病研究センター」から入手したのも同一コピー) 
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