2011年8月30日

モスクワにて  TT生

 

内容の濃い大変な本で、まともに読もうとする人間なら、西村さんの思考方法、そのベースとなっている知識構造と、自分のそれとを対比しつつ読解すること迫られます。

私も頭を使ってうなりながら3回読んで、やっと私なりに内容を理解はしましたが、この本の核心をめぐって思考、knowledgeexchangeができるほどの理解レベルではありません。かなり個人的感想しか書けませんが、ご容赦のほどお願いします。

 

1.             現代の“「理性思考」宣言”

この本は、主題は「米国の将来予測」となっていますが、内容はそれをはるかに超えています。現代の、そして究極の“「理性思考」宣言”をめざしたものと私は考えます。

西村さんがこの本を出す真の目的は、これまで人間が真に人間であるための「理性思考」を妨げてきたものに怒り、それを白日の目に晒し、「理性思考」を復興させることを呼びかけることにあると私は感じたのです。

以前私が、「海外の人と話をするとき、タブーはありますか」と尋ねたら「タブーなんてないんだ」とおっしゃいました。会話や議論を意味のあるものにするため、それを妨げるタブーなどあってはならないと考えておられるのだなと思いました。

また、ときどきルネサンスのことを話題にされていました。そしてルネサンスによって、多面的、多様に人格を発展させる人間が出てきた(表現は少し違うかもしれないですが)とおっしゃっていました。西村さんの生き方をみていると、そのような全人格的に発展しようとする意志を感じます。

今回、「妨げてきた、妨げているもの」の核はTrinityであると明確におっしゃっています。

Trinity信仰は、現在CatholicProtestantRussian正教の圧倒的主流です。それを信仰する人たちの世界を支配する力は気が遠くなるくらい強大です。この本はその人たちに戦いを挑んでいます。また、米国の金融戦略を実質的に牛耳り、情報革命を遂行しているユダヤ人たちは、それが事実でも、この本でそのことをあからさまにしていることに対して。「これからやりにくくなる」と反感をもつでしょう。

だから、この本の出版は命がけと言ってもおおげさではないと思います。

最近西村さんは「生きるとは闘うことだ、生きるために闘い続けなければならない」とよくおっしゃいます。その言葉の重さを痛感しました。そして今回の勇気に驚き、感動しました。

この内容の本は、日本はもちろん欧米の誰にも書けない、西村さんにしか書けないと思います。

 

2.人間の「理性」への信頼

“「理性思考」宣言”は西村さんにとって、単に理想ではないですね。根底には人間の「理性」への信頼があると感じました。まずSpinozaをとりあげたのも、理論物理学者を中心に、AtheistUnitarianが多く、そういう人が増えていることを示しているのも、その信頼があるからでしょう。キリスト教信者には「理性思考」側に立って、あるいは信仰と理性思考との矛盾を克服すべく、キリスト教を革新しようとする人間がまだ出てきてはいないようですが、それは長く苦しい時間を要するのでしょうね。

 

3.将来予測における思考姿勢の一貫性

ソ連崩壊予測、中国の将来成長予測、今回は米国の将来予測ですが、将来予測における思考の姿勢と過程、ベースとなる知識構造を含めてのすべてが一貫していること、それが西村さんの「生き方」と切っても切れないものであることを私は理解します。こんなに軸のぶれない人を私は見たことがありません。

中国、ソ連、米国は、西村生存エネルギー、西村思想、西村学の発展と中途半端でない深い関わりがあったことを私は知っています。

文革の最盛期に既に西村さんは「文革は毛沢東の権力奪還の手段」と喝破しておられました(当時私は研究室にいました)。当時日本のメディアは中国側から情報をもらえなくなる、あるいは現地から追放されるのを恐れて、中国側情報に沿った報道しかしていなかったですが、西村さんは毎日のように文革の批判をされていました。

文革直後の北京で、西村さんが行った「中国の四つの現代化政策の批判」も、その当然の表現だったと思います。

ソ連崩壊予測のベースとされた官僚主義・役人腐敗の批判、それはソ連崩壊後もロシア社会に根強く残っています。

結果をみれば、すべて西村さんが言ったことが正しかったのです。

 

「あとがき」で、将来予測のこと、的中したソ連崩壊予測、中国の将来成長予測に続いて米国の将来予測を行うことが本の主題と書かれています。内容は通常の将来予測とは性格をまったく異にするし、ソ連、中国の将来予測において西村さんが発信した内容をも大きく超えています。

 

その中で西村さんは「将来予測」のベースとなる「頭の中の知識構造」を読者にさらけ出しています。そのことが「心の中の確信」に基づく予測の正しさ(それ以外にはあり得ない予測)を説得力のあるものにしています。

・将来予測は、この本の著者西村という人間にとっては「生き方」と切っても切れないものである

・将来の一点予測自体にはあまり価値がなく、「それはなぜか、それからどうなるのか」という、構造全体の予測に価値がある。

・構造予測は予測の基礎にある頭の中の知識構造そのものである。

という説明に、読者は新鮮な驚きを感じるでしょう。

その後の通常の将来予測の範囲をはるかに超える論述展開には、読者はなお一層驚嘆すると思います。

 

 

「アメリカ経済が元の活力を回復することはない」という西村さんの予測ですが、最近の米国の状況をみると、予測はすでにあたる兆候をみせていると感じます。

 

4.1章−3章について

私のknowledge不足のため、書けることは少ないです。

米国のInvestment Bankingの破綻、私も仕事柄このあたりの知識は多少あるのですが、西村さんのknowledgeの正確さ、分析の確かさにはおどろきました。

西村さんが学問の上でも使われていた「近景、遠景、拡大図」の方法がここでも一貫していて、その方法の有効性が際立ちます。

「米国の技術没落の理由=物理学が解らない」は、White Protestant米国人にとってはショックでしょうね。でも西村さんの論述は、事実をフォローしようと思えばできるようにlogicalかつfareですから、「理性」のある米国人には感じるものがあると思います。

 

5.4章−7章(ユダヤ人関連)について

私が知らなかったことばかりで、こういう知識を得られたことが非常にありがたかったです。

「なぜユダヤ人は欧米の多くの国で、民族を抹殺したいと思うほど嫌われるのか、歴史的時間の中でユダヤ人迫害がなぜ繰り返されるのか」という私の疑問は、ほぼ解けました。

German Jewに飛びぬけて優秀な人間が多くいたのでとくにドイツ人は恐怖したのですね。スターリンがRussian Jewを嫌い抹殺・追放したのは、競争相手の革命指導者に多かったためと、科学者、医学者などにも優秀な人間が多かったための恐怖でしょうか。

まだわからないことがあります。

全世界にたった1500万人と人口割合は非常に小さいのに、なぜそこから世界レベルで影響力のある人間、科学や技術の革新をリードするような優秀な人間(米国では金融や政治まで動かしています)が多数輩出するのかという疑問です。

世界各国に散らばされることで多言語思考になり、他民族を凌駕する広い視野とknowledgeを持つようになったのか?迫害、差別される中で、頭を鍛えて生き抜くように教育されたからか?そういう教育環境的背景だけで、そこまでの人間を育てられるものでしょうか?何か特別な教育方法を行っているのでしょうか?ユダヤ教が論理思考、創造思考を鍛えるとも思えません。

徹底した特有の「選民教育」が効果を上げているのかという気もしてきます。

 

6.8章、9章について

ここも西村さは力を入れて書かれていますね。

米国で起こっていることの「それはなぜか」の先の、「それからどうなるのか」に関わる大きなことだからですよね。

西村さんがプロセスシステム工学の開発の話をするときは、いつも半導体・ICの開発の話をされていました。西村さんの思考方法にとって非常に重要なテーマであると感じていました。

内容は、「情報革命」/「電脳革命」の過程を、リードした人間たちの役割を含めて体系的に示すものとなっています。“この技術革命は(時代の潮流から)「人の働きと動きで見るべきである」”、“「価格の猛烈な下落」が情報処理革命の特長”、“PCが急に生活の中で比重を高めた主な理由はInternetとの融合”などの記述は、すべて的確と思います。われわれと同時代のことだけに、人間たちについてのvividで本質をえぐる記述は非常に面白いです。そして、遠景・近景・拡大図の方法の有効性を見事に示していると思いました。

 

確かに「アメリカ経済が元の活力を回復することはない」のでしょうが、情報分野(hardsoftsystem)では、したたかなユダヤ人を中心に活力回復のための巻き返しの動きが出てくるのではないかという気もしますが、いかがでしょう?

 

1012章を追加でご執筆中ですね。これが追加されると、ますます読者を知的に興奮させ、世の中を震撼させる超大作になると思います